このどうしようもなき自空間

目が覚めたら、ここが東京の安アパートの一室ではなく、晴れ晴れと明るい異空間になっていたら。
…なんて、何かの純文のパクリみたいですが、最近ホントにそう思っています。


トンカチトンカチトンカチトンカチ…どるどるどるどる。
あ〜〜、何だ!うっせぇ!
…もう3カ月ばかりも続いてますね。隣の新築工事。
つか、東向きのこの部屋の、東側に3階立てのメゾネット的な建物がたってしまったので、採光度20%ぐらいになってしまいました。角部屋だったのが不幸中の幸い。
こういうの、日照権って主張できるもんなんですかねえ。でも、新築物件がたってる土地は、このオンボロアパートの大家だし、まあ最初から力の差は明らかで。いやなら引っ越せ!でしょうか。
でも残業終えて、疲れきって帰ってきた午後11時半。引き渡し前の間に合わせ仕事なのか、暗闇の中でバーナーっぽいものごーごー言わせて作業してたお兄ちゃんたち見たときには、同情ゆうか殺意さえ覚えましたね。
とか何とかやっていて、東の窓が気軽に開閉できないもんだから、そして採光があんまりできなくなったもんだから、昨年おおみそかに買って1人で正月のささやかな幸福を共にしたパンジーちゃんが、こないだ久しぶりに窓をあけてみたらばからっからに枯れきっているのを発見しました。看取りもできないまま、ひとりで逝ってしまっていました。
ああ、また植物を枯らしてしまったと自責の念。
そんなあたしに、なぜだか何度も花の種をくれる人がいます。その種はいつも誰かからのもらいもので、そして決まってあたしに横流しされるんですですけどね。
花が好きなおんな、とでも思われているのかもしれません。
いや、だから、いつも枯らしてしまうのですけど。


この薄暗いアパートの一室で、でも夜になるとむしろ街灯が差し込んできて真っ暗闇にはなれないようなこの部屋で。しょうがない。目覚めてもどこへも行けないのなら、またひっそりと花でも咲かせましょうか。
いつかその一生を看取れる日まで。繰り返し失敗しつつ。でも愛情はいつわりなく注ぎつつ。