地方のヒーロー?

達川光男は、ある意味、広島県人の英雄だった。
というのは、あの濃厚な広島弁を、何の悪びれた様子もなく、公共の電波に乗せて全国に発信した開拓者だったからである。


東京という日本で唯一の「非地方」で、当たり前のように「母国語」をしゃべり、時には武器にすらしてしまう関西人(主に大阪人?)に、広島人(ほか44都道府県民?)は嫉妬と羨望と引け目を感じていた。
その根拠なき後ろ暗さの後頭部をバシーンと叩いてくれたのが達ちゃんだった。
じいちゃんの代までぐらいしか使っていかった伝統的な方言と、メリハリの聞いたイントネーション。
まさかこんな生々しい母国語が、国営放送を通じて聞けるとは思ってなかったよ、というのが県民のストレートな心情だろう。
さんきゅー、達ちゃん! でかした、達ちゃん!
そうだ、おれたちゃ広島人だ。中国(地方)人だ。
忘れていたネイティブの誇りを思い出させてくれたよ、キミは。


…と多くが思ったかどうかは定かでないが、そおゆう意味で達ちゃんを嫌いな広島人は、あまりいないのではないかと思う(個人的見解)。
とにかく広島弁は「仁義なき闘い」の専売特許じゃないんじゃけー!!と言いたかった人は少なくないはずだ。


友人Kが教えてくれた広島弁によるipadビデオを観てウケながら、何だかそんなことを考えていた。