ぶち・かっこええ!!

L・アンダーソン「時間の記録」観る。
彼女こそまさに「スーパーマン」だね!!

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ラジオを一等よく聴いていた1980年代。雷に撃たれたような衝撃を受けた曲がいくつかある。
思い出せる範囲でいうと、まず高橋真梨子の「桃色吐息」。その時分、すでに真梨子ファンであったというませガキな私は、ラジオから流れてきた待望の「新曲」を耳にして震撼した。驚きというよりも恐怖。いまだかつて聴いたこともないようなメロディと歌詞にコドモな私はおびえた…ら、あれよあれよ、彼女のキャリアで最大のヒット曲になってしまった。
ウルフルズの「ガッツだぜ」。あ、これは90年代入ってたか?とにかくこれも深夜のラジオから流れてきた衝撃。メロの起伏の激しさ、ファンクのリズム?ちゅうんでしょうか。日本人ミュージシャンの曲としては「こんなの初めて」って感じで強烈だった。
そして、前振りが非常に長くなったのだが、ラジオからのショーゲキソングの一つが、ローリー・アンダーソン「オー、スーパーマン」なのだ。
何ていうんだろう。不思議とか不気味とか無味乾燥とか、そういうオーディナリーな形容詞を超越した曲だ。聴き直してみると、宇宙に手の届きそうな空気がある。無限に広がる広大な宇宙、ではなくて、すっと手を伸ばしたらまつわりついてきた、って感じの当たり前にそこにある宇宙。この曲で初めて、ミニマルミュージック的なものの心地よさに触れたんだと思う。

「オー、スーパーマン」の人、L・アンダーソン。それだけの動機で彼女の展覧会を観にいった。会場の壁面に落書きのごとく描かれた絵や文字(学芸員に聞いたら、絵はアンダーソン自身がここに来て描いたもので、日本語の文字は日本人スタッフが彼女のテキストをもとに書いたものだという)。最初はそのぶっとび具合に、「おや?ちょっと場違ったかしら」と懸念したものだが、ひと通り観終えるとすっかり引き込まれてた。
 文句なしの「一位」は、「ドラム・ダンス」。ドラムの各部位の音がするチップを「つなぎ」服の各所にぬいつけて、踊りながら「ドラムをたたく」というもの。心臓のところをたたくとBASS DRUM、左手はHIGH HAT、右手LINN DRUM CLAPS、右ひざでSNAREの音がする仕組みだ。アンダーソンがこのドラムスーツを着て踊るビデオがめちゃ☆かっこいい。1分弱程度の映像を一体何回観たことか。もういいだろうと思って、次の展示に進んでも、また気になって引き戻されてしまうぐらいメロメロにやられた。
しかし、この人、つくづくパフォーマーだね。映像と音楽が混然一体となった作品がいっちゃん魅力的。


「制度の中の夢」。これもえかった。私だって思い付きでこうゆうことを考えんでもないが、アーティストと称される人の凄さは、「そんなんやって何の意味がある?」なんて覚めたもう一人の自分の声に惑わされることなく、本当にあっさりとやってのけるところにあるのだよなあ。
以下、解説文から引用。


「制度の中の夢」では、いろいろな公共の場所で眠ってみて、私の夢に場所の影響が現れるか、試してみました。選んだのは公衆トイレ、公園のベンチ、公共図書館といった場所、(中略)
最初これを思いついたのは、禁忌(タブー)に関心があったから。公共の場で眠ることは法に触れないとしても、奨励はされません。それは醒めた状態を要求する暗黙の社会契約を侵すものとみなされます。


壁面のテキストから。


本来、不可能というものがたくさんあるんですが、知ってましたか?
たとえば図書館と一緒に散歩するとか。


ごちそうサマでした。またあらためてビデオ上映を観にいきます。